数学的帰納法とは?手順・書き方のテンプレと例題で完全理解
数学的帰納法って、言葉は聞いたことがあるけどよく分かりません。
「n = 1を確かめて、n = k のとき成り立つと仮定して、n = k + 1のときも成り立つことを示す」って流れまでは覚えたのに、k + 1の式をどう作ればいいのかで止まります。
定期テストでも、何を書けばいいか不安です。
こんにちは。数学的帰納法は、いったん型が見えるとスムーズに書けるようになります。
このページでは、まず「何をする方法か」と「答案の型」を最短で整理します。
こんにちは。数学的帰納法は、いったん型が見えるとスムーズに書けるようになります。
このページでは、まず「何をする方法か」と「答案の型」を最短で整理します。
まずは質問のポイントを整理しよう
あなたの困りごとは、次の2つに分けられそうです。
- 数学的帰納法が「何を証明する技法」なのかがあいまい
- n = k + 1の証明(P(k + 1))の作り方が分からない
そこで、最初にゴールをはっきりさせます。
今日のゴール(ここまでできればOK)
| 到達目標 | できるようになること |
|---|---|
| ①意味が分かる | 「数学的帰納法=何を示す方法か」を一言で言える |
| ②型が書ける | 初期条件 → 仮定 → k + 1 →結論の順で答案が組める |
| ③止まらない | k + 1の式を作る基本パターンを試せる |
数学的帰納法とは?一言でいうと
数学的帰納法は、「自然数nで成り立つ性質(命題)を、すべてのnについて正しいと証明する方法」です。
ポイントは、いきなり全部を確かめるのではなく、次の2つをセットで示すところにあります。
- 最初の1個が正しい(例:n = 1のとき成り立つ)
- k が正しいなら、k + 1も正しい(正しさが次へつながる)
この2つがそろうと、1 → 2 → 3 →…と正しさがずっと続くので、すべてのnで成り立つと言えます。
図でイメージ(ドミノの考え方)
数学的帰納法は、よくドミノにたとえます。
| ドミノのたとえ | 数学的帰納法 |
|---|---|
| 1枚目が倒れる | 初期条件(n = 1が正しい) |
| k枚目が倒れたら次も倒れる | 帰納法の仮定 → k + 1の証明 |
| ずっと倒れていく | すべてのnで成り立つ |
「帰納」という言葉が入っていますが、やっていることは正しさの連鎖を作る証明だと思うとスッキリします。
まず覚えるべき“4ステップ”
数学的帰納法の答案は、基本的にこの順で書きます。ここがブレると減点につながりやすいです。
- 1. 初期条件:n = 1(または指定された最初の値)で成り立つことを確認
- 2. 帰納法の仮定:n = k(kは自然数)で成り立つと仮定
- 3. n = k + 1の証明:仮定を使って、n = k + 1でも成り立つと示す
- 4. 結論:よってすべての自然数nで成り立つ
ミスを防ぐチェック(テスト中に使える)
- 初期条件は書いた?
- 「kは自然数」を入れた?
- k + 1の証明で、仮定P(k)を1回以上使った?
- 最後に「よってすべてのnで成り立つ」と結論を書いた?
そのまま使える!答案テンプレ(型)
数学的帰納法は、内容よりも先に答案の形を固定すると一気にラクになります。
ここでは「このまま写して使える」レベルのテンプレを用意しました。
答案テンプレ(基本形)
| パート | 答案に書くこと(定型文) | 目的 |
|---|---|---|
| ①初期条件 | n = 1のとき,P(1)は(計算・確認)より成り立つ。 | 最初の1個を確定する |
| ②仮定 | 任意の自然数kについて,P(k)が成り立つと仮定する。 | つながりの出発点を置く |
| ③k + 1 | n = k + 1のとき,P(k + 1)が成り立つことを示す。仮定P(k)より(式変形)… | 正しさが次へ続くことを示す |
| ④結論 | 以上より,すべての自然数nでP(n)は成り立つ。 | まとめて言い切る |
この表を見ながら書けば、最低限の流れは崩れません。
テンプレを使うときの注意(減点を防ぐ)
次の4つは、テストで特に落とし穴になりやすいです。
- 「kは自然数」を入れない(仮定が弱くなる)
- 初期条件が n = 1 ではなく n = 0 の問題に気づかない(問題文に合わせる)
- k + 1の証明で、仮定P(k)を使った形跡がない
- 最後の結論を書かずに終わる(もったいない)
ここが一番大事:P(k + 1)が作れないときの考え方
「k + 1の式が思いつかない…」となったら、次のどれかをまず試します。
いきなり全部展開すると迷子になりやすいので、順番を決めるのがコツです。
| 試すこと | 典型パターン | まずやる一手 |
|---|---|---|
| 末項を分ける | 和・数列の等式 | k + 1の式 = k の式 +(増えた分)にする |
| k の形を出す | 整式・倍数 | 因数分解してP(k)が見える形に寄せる |
| 評価の順を固定 | 不等式 | P(k)を代入できる形に整えてから比較する |
例題1(基本):1 + 2 + … + n の公式を数学的帰納法で証明しよう
数学的帰納法の流れをつかむなら、まずはこの問題が定番です。「k + 1の形をどう作るか」も分かりやすいので、最初に練習しておきましょう。
問題
が、すべての自然数nで成り立つことを証明せよ。
まずはP(n)を決める(ここを曖昧にしない)
この問題では、次の命題を証明します。
- P(n):

テストで点が伸びる人は、最初にP(n)をはっきり書きます。
解答(答案テンプレに当てはめる)
①初期条件(n = 1)
n = 1のとき
左辺:1
右辺:
よってP(1)は成り立つ。
②帰納法の仮定
任意の自然数kについて、P(k)が成り立つと仮定する。
つまり

とする。
③n = k + 1 のとき(ここが勝負)
n = k + 1のときの左辺は

ここで、「kまでの和」+「増えた分」に分けます。
つまり

この形になれば、仮定P(k)が使えます。
仮定より
だから

ここから整理します。




右辺は、n = k + 1を代入した形と一致します。
に n = k + 1を代入すると
よってP(k + 1)は成り立つ。
④結論
①と③より、数学的帰納法によってP(n)はすべての自然数nで成り立つ。
この例題で覚えるポイント(短く整理)
-
k + 1のときは、いきなり計算を始めずに
「kまで」+「増えた分」に分ける - 仮定P(k)は、式の中にそのまま登場させて使う
- 最後に「結論」を書いて締める
例題2(頻出):n3 - n が6の倍数であることを数学的帰納法で示そう
「倍数の証明」は入試でも定期テストでもよく出ます。
ポイントは、P(k + 1)を整理してP(k)が出る形にすることです。
問題
n3 - nは、すべての自然数nについて6の倍数であることを証明せよ。
P(n)を決める
- P(n):n3 - nが6の倍数である
解答(テンプレに当てはめる)
①初期条件(n = 1)
n = 1のとき
13 - 1 = 0なので6の倍数。
よってP(1)は成り立つ。
②帰納法の仮定
任意の自然数kについて、P(k)が成り立つと仮定する。
つまり
k3 - kが6の倍数である
(ある整数mを用いてk3 - k = 6m と書ける)
とする。
③n = k + 1 のとき(P(k + 1)を示す)
(k + 1)3 - (k + 1)を整理します。
(k + 1)3 - (k + 1)
= (k3 + 3k2 + 3k + 1) - k - 1
= k3 + 3k2 + 2k
= (k3 - k) + (3k2 + 3k)
ここで、(k3 - k) が出たので仮定が使えます。
- 仮定より (k3 - k) は6の倍数
- 残りの(3k2 + 3k)は 3k(k + 1)と因数分解できる
3k(k + 1) は、k とk + 1のどちらかが偶数なので k(k + 1)は2の倍数。
よって 3k(k + 1)は 3 × (2の倍数) で 6の倍数。
したがって
(k3 - k)(6の倍数)+ 3k(k + 1)(6の倍数)
は6の倍数。
よってP(k + 1)は成り立つ。
④結論
①と③より、数学的帰納法によってP(n)はすべての自然数nで成り立つ。
この例題で覚えるポイント(視覚的に)
P(k + 1)を作ったら、まず次を狙う
| 狙う形 | やること |
|---|---|
| P(k)がそのまま出る | 途中で (k3 - k) のように分ける |
| 余りは6の倍数にする | 因数分解して「偶数 × 3」などを作る |
倍数は「6の倍数」なら、次の2つに分けて考えるとラク
- 2の倍数(偶数があるか)
- 3の倍数(3がかかっているか)
例題3(差がつく):2n ≧ n + 1 を数学的帰納法で証明しよう
不等式の帰納法は、「仮定をどう使うか」が見えにくくて苦手になりがちです。
ここでは、k + 1の式を作ったら 2·2kの形にして仮定を差し込む という流れを練習します。
問題
すべての自然数n (n ≧ 1)について、2n ≧ n + 1 を証明せよ。
P(n)を決める
- P(n):2n ≧ n + 1
解答(テンプレに当てはめる)
①初期条件(n = 1)
n = 1のとき
左辺:21 = 2
右辺:1 + 1 = 2
よって 2 ≧ 2で成り立つ。したがってP(1)は成り立つ。
②帰納法の仮定
任意の自然数k (k ≧ 1)について、P(k)が成り立つと仮定する。
つまり
2k ≥ k + 1とする。
③n = k + 1 のとき(P(k + 1)を示す)
示したいのは
2k+1 ≧ (k + 1) + 1 = k + 2です。
左辺を、仮定を使える形にします。
2k+1 = 2・2k
ここで仮定 2k ≧ k + 1 を使うと、
2・2k ≧ 2(k + 1) = 2k + 2
よって、あとは
2k + 2 ≧ k + 2
が言えればOKです。
2k + 2 - (k + 2) = k ≧ 1
なので、確かに
2k + 2 ≥ k + 2
したがって
2k+1 ≧ k + 2
となり、P(k + 1)が成り立つ。
④結論
①と③より、数学的帰納法によってP(n)はすべての自然数n (n ≧ 1)で成り立つ。
不等式で止まらないコツ(短く整理)
- まずは2k+1 = 2・2k の形にして、仮定を差し込む
- 仮定を使った後は、残った不等式を「差をとって確認」するとミスが減る
例題4(王道):漸化式から一般項を数学的帰納法で示そう
数学的帰納法は、数列の一般項を証明するときにもよく使います。
コツは、a(k + 1)を漸化式で言い換えて、仮定のa(k)を代入することです。
問題
数列 {an} が
a1 = 1, an+1 = 2an + 1(n ≧ 1)
を満たすとき、an = 2n - 1 を示せ。
P(n)を決める
P(n):an = 2n - 1
解答(テンプレに当てはめる)
①初期条件(n = 1)
n = 1のとき
a1 = 1
右辺は21 - 1 = 1
よって a1 = 21 - 1 = 1で成り立つ。したがってP(1)は成り立つ。
②帰納法の仮定
任意の自然数k(k ≧ 1)について、P(k)が成り立つと仮定する。
つまり
ak = 2k - 1
とする。
③n = k + 1 のとき(P(k + 1)を示す)
示したいのは
ak+1 = 2k+1 - 1
です。
漸化式 ak+1 = 2ak + 1 を使って、ak+1 をakで表します。
ak+1 = 2ak + 1
ここで仮定 ak = 2k - 1 を代入すると、
ak+1 = 2(2k - 1) + 1
= 2k+1 - 2 + 1
= 2k+1 - 1
よってP(k + 1)は成り立つ。
④結論
①と③より、数学的帰納法によってP(n)はすべての自然数n(n ≧ 1)で成り立つ。
この例題で覚えるポイント(短く整理)
- P(k + 1)は「漸化式で置き換える」と一気に道が見える
- 代入は、仮定の式をそのまま使うのが基本
- 計算が短いので、結論の一文まで丁寧に書くと減点が減る
例題5(応用入口):分数の和を数学的帰納法で証明しよう
分数が並ぶ和は、一見むずかしく見えます。
ただ、数学的帰納法でやることは例題1と同じで、「kまで」+「増えた1項」に分けるだけです。
問題
すべての自然数nについて、次が成り立つことを証明せよ。

P(n)を決める
- P(n):

解答(テンプレに当てはめる)
①初期条件(n = 1)
n = 1 のとき
左辺:
右辺:
よって成り立つ。したがってP(1)は成り立つ。
②帰納法の仮定
任意の自然数k(k ≧ 1)について、P(k)が成り立つと仮定する。
つまり
とする。
③n = k + 1 のとき(P(k + 1)を示す)
示したいのは

です。
左辺を「kまで」と「増えた1項」に分けます。

ここで仮定が使えます。

通分すると、

なので、




右辺と一致したのでP(k + 1)は成り立つ。
④結論
①と③より、数学的帰納法によってP(n)はすべての自然数n(n ≧ 1)で成り立つ。
この例題で覚えるポイント(短く整理)
- k + 1のときは「kまでの和」+「増えた1項」に分ける
- 仮定を使ったら、あとは通分して一致させるだけ
- 最後は必ず「右辺と一致した」と書いて結論につなげる
まとめ:数学的帰納法で押さえること
最後に、数学的帰納法で点を落とさないための要点をまとめます。
テスト前は、ここだけ読み返してもOKです。
- 数学的帰納法は、自然数nの命題P(n)を「すべてのnで正しい」と示す方法
- 答案は、初期条件 → 仮定 → k + 1 → 結論の4ステップで固定すると崩れにくい
- 初期条件は、n = 1 とは限らないので問題文の条件を必ず確認する
- 帰納法の仮定では「kは自然数」を入れて、P(k)の式をはっきり書く
-
k + 1 が作れないときは、まず次のどれかを試すと道が見えやすい
- 和の問題:kまで + 増えた1項に分ける
- 等式や倍数:因数分解してP(k)が出る形に寄せる
- 不等式:仮定を差し込める形にしてから評価の順を固定する
- 結論の一文(よってすべての自然数nで成り立つ)を書き忘れると、もったいない減点になりやすい
- 例題は「等式・倍数・不等式・漸化式・分数の和」の5パターンを押さえると、出題の幅に対応しやすい
数学的帰納法は、読んで分かったつもりでも、実際に書くと止まりやすい単元です。
だからこそ、短い時間でいいので「同じ型を何周も回す」ほうが伸びやすくなります。
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