三次方程式の解の公式はありますか?
三次方程式の解の公式はありますか?
理論的には存在します(カルダノの公式)が、非常に複雑で実用的ではありません。高校数学では因数定理を使う方が実用的です。
理論的には存在します(カルダノの公式)が、非常に複雑で実用的ではありません。高校数学では因数定理を使う方が実用的です。
三次方程式とは
一般形:
標準形:
(チルンハウス変換により二次の項を消去した形)
二次方程式と比較
二次方程式の解の公式:
これと比べると、三次方程式の公式は:
- 三重根号(立方根の中に平方根)が出現
- 計算が非常に複雑
- 実数解が3つある場合、虚数を経由する必要がある(還元不能の場合)
判別式と実数解の個数
判別式 D は実数解の個数を決定します:
| 判別式 | 実数解の個数 | 備考 |
|---|---|---|
| D > 0 | 実数解1個、複素数解2個 | 最も扱いやすい |
| D = 0 | 重解を含む | 特殊なケース |
| D < 0 | 実数解3個 | 虚数の計算が必要で扱いにくい |
ただし、高校数学では三次方程式の解の公式や判別式を用いて解答しなければならない問題は出題されません。三次方程式の解法としては、主に以下の2つが挙げられます。
解法の選択指針
| 状況 | 推奨する解法 |
|---|---|
| 整数解がありそう | 因数定理(最優先) |
| 特殊な形(x3 ± a3など) | 因数分解 |
三次方程式の標準形
一般形から変数変換(チルンハウス変換)により、二次の項を消去した標準形に変形できます。
三次方程式の定義と標準形
ステップ1:一般形を整理
両辺をaで割ると:
ステップ2:チルンハウス変換
と置換すると、二次の項が消えて標準形に帰着できます:
ここで、p, q は元の係数から計算される定数です。
重要:この変換により、三次方程式は常に標準形に変形できます。カルダノの公式はこの標準形に対して適用されます。
実数解の個数
三次方程式の重要な性質:
- 三次方程式は必ず少なくとも1つの実数解を持つ
- 実数解の個数は1個または3個
理由:
- 実数解が1個の場合、残り2つは共役な複素数解
- 実数解が3個の場合、すべて実数(重解を含む場合もある)
- 三次関数のグラフは必ずx軸と交わるため、実数解は必ず存在する
三次方程式の現実的な解法
因数定理で整数解を探し、組立除法で次数を下げて二次方程式に帰着させるのが標準的な方法です。
因数定理で整数解を探す
因数定理:
f(a) = 0ならば、f(x)は(x - a)で割り切れる
手順:
-
1. 整数値を代入
など整数値を代入してf(x) = 0となる値を探す
-
2. 因数で割り算
見つかった解をx = aとすると、(x - a)で割り算 -
3. 二次方程式を解く
残った二次方程式を解の公式で解く
例:x3 -6x2 + 11x - 6 = 0 を解く
ステップ1:x = 1を代入
f(1) = 0より、(x - 1)で割り切れる
ステップ2:組立除法(後述)で割り算
ステップ3:x2 -5x + 6 = 0を解く
答:x = 1, 2, 3
組立除法で次数を下げる
組立除法は、見つけた解で効率的に次数を下げる計算技法です。筆算の割り算よりも速く、計算ミスも減らせます。
組立除法の手順(x3 + ax2 + bx + c を (x - a) で割る):
- 1. 係数1, a, b, cを横に並べる
- 2. a を左に書く
- 3. 順次、積と和を計算していく
例:x3 -6x2 + 11x - 6 を (x - 1) で割る

読み方:
- 商:x2 -5x + 6
- 余り:0
計算手順:
- 1. 1を下ろす →1
- 2. 1 × 1 = 1、-6 + 1 = -5 → -5
- 3. 1 × (-5) = -5、11 + (-5) = 6 → 6
- 4. 1 × 6 = 6、-6 + 6 = 0 → 0(余り)
因数分解パターンを見抜く
特定のパターンでは因数分解が直接可能です。
典型パターン:
1. 和の公式・差の公式
x3 + a3 = (x + a)(x2 -ax + a2)
x3 -a3 = (x - a)(x2 + ax + a2)
例:x3 - 8 = 0
x3 -8 = x3 -23 = (x - 2)(x2 + 2x + 4)
x - 2 = 0 より x = 2
x2 + 2x + 4 = 0は判別式D = 4 - 16 = -12 < 0 なので実数解なし
答:x = 2
2. 共通因数
例:x3 + 2x2 + x = 0
x(x2 + 2x + 1) = x(x + 1)2 = 0
答:x = 0, -1 (重解)
3. たすき掛け
係数が簡単な場合は(x + a)(x2 + bx + c)の形を推測
カルダノの公式の歴史
16世紀イタリアで発見されました。
歴史的背景
発見の経緯:
| 時期 | 人物 | 業績 |
|---|---|---|
| 1500年頃 | デル・フェロ | x3 + px = q 型の解法を発見(秘密にしていた) |
| 1530年頃 | タルタリア | 独自に解法を再発見 |
| 1545年 | カルダノ | 著書「アルス・マグナ」で公表 |
興味深い事実:
カルダノは、タルタリアから秘密を守る約束で教わった解法を、著書で公表してしまいました。これが数学史上有名な「カルダノとタルタリアの論争」となりました。
五次以上の方程式
アーベル-ルフィニの定理:五次以上の方程式には、一般的な解の公式が存在しない
これは、公式が複雑すぎて見つかっていないのではなく、理論的に存在しないことが証明されています。
| 次数 | 解の公式 |
|---|---|
| 一次 | ◯ 簡単 |
| 二次 | ◯ 実用的 |
| 三次 | △ 存在するが複雑 |
| 四次 | △ 存在するが非常に複雑 |
| 五次以上 | ✕一般的な公式は存在しない |
まとめ|三次方程式の基本解法と使い分けのポイント
三次方程式について学んだ内容を振り返りましょう。
1. カルダノの公式の存在と限界
- 三次方程式にはカルダノの公式が理論的に存在する
- しかし、実用上は複雑すぎて手計算には不向き
- 高校数学では因数定理を使う方が現実的
2. 高校数学での標準解法
| 順序 | 方法 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 因数定理 | 整数解を探す (x =±1, ±2, ±3…) |
| 2 | 組立除法 | 見つけた解で割り算 |
| 3 | 二次方程式 | 解の公式で残りの解を求める |
3. 使い分けの指針
- 整数解が見つかりそう:因数定理(最優先)
- 特殊な形 (x3 ± a3):因数分解
- 共通因数がある:まず因数を括り出す
4. 三次方程式の性質
- 三次方程式は必ず少なくとも1つの実数解を持つ
- 実数解の個数は1個または3個
- 判別式Dで実数解の個数を判定できる
5. 歴史的な位置づけ
| 時代 | 出来事 |
|---|---|
| 16世紀 | カルダノ、タルタリア、デル・フェロらが三次方程式の解法を発見 |
| 19世紀 | アーベルとルフィニが五次以上の方程式には一般的な解の公式が存在しないことを証明 |
三次方程式の解法の理解は、高校数学の重要なテーマです。しかし、
- 「因数定理でどの整数を試せばいいか分からない」
- 「組立除法の計算が苦手」
- 「因数分解のパターンが見抜けない」
といった壁に直面する高校生は多いです。そんなときに役立つのが進研ゼミのAI質問機能(お試し無料)。
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