【訓読・書き下し】ひらがなに直す漢字が何かわかりません
ひらがなに直す漢字が何かわかりません
書き下し文にするとき、どの漢字をひらがなに直すのかがよくわかりません。何か法則があるのですか?
進研ゼミからの回答!
こんにちは。
早速、いただいた質問についてお答えしていきましょう。
【質問の確認】
書き下し文にするとき、どの漢字をひらがなに直すのかがよくわかりません。
何か法則があるのですか?
【解説】
書き下し文とは、漢文を日本語として意味がわかるように漢字かな交じりで書き改めたものです。ですから、送りがなはひらがなで、漢字はそのままで書くのが基本ですが、次の場合はひらがなに直して書くことが決まっています。
【1】日本語の助詞・助動詞として訓読する漢字
【2】再読文字の二度目の読み
以上2つについて、具体的に確認していきましょう。
【1】日本語の助詞・助動詞として訓読する漢字
助詞・助動詞は付属語で、自立語に接続して様々な意味を添える働きをする語です。
助詞には活用がなく、助動詞は活用します。
助詞・助動詞として訓読する漢字には、次のようなものがあります。
助詞
・「之」(の)
・「自・由・従」(より)
・「与」(と)
・「者」(は)
・「乎・哉・邪」(疑問の終助詞「や」・「か」)
・「耳」・「而已矣」(のみ)
など
助動詞
・「不・弗」(打消の助動詞「ず」)
・「可」(推量の助動詞「べし」)
・「使・令」(使役の助動詞「しむ」)
・「見・被」(受身の助動詞「る」・「らる」)
・「如・若」(比況の助動詞「ごとし」)
・「也」(断定の助動詞「なり」)
など
では実際に、次の漢文を書き下してみましょう。
漢文を、ひらがなに直す漢字を意識せずに書き下すと、Aのようになります。
でも、Aではまだ書き下し文として正解ではありません。Bのように、「之」「不」「也」をひらがなに直す必要があります。
「之」・・・「王が」の意となる主格を表す格助詞「の」の働きをしている
「不」・・・打消の助動詞「ず」に当たる
「也」・・・助動詞「なり」に当たる
助詞・助動詞に当たる漢字について注意が必要なのは、同じ漢字が文章によって動詞だったり助動詞だったりと、品詞が変わることがある点です。例を挙げてみましょう。
・「之」
助詞「の」として読むほか、指示代名詞として「これ」と読む場合や、動詞として「ゆク」と読むことがあります。
・「若」
助動詞として「ごとシ」と読むほか、仮定形を表す副詞として「もシ」と読む場合や、「なんぢ」と読んで「おまえ」の意を表す代名詞として用いられることがあります。
助詞・助動詞として読むのではない場合、書き下し文では漢字のまま書き表します。
どの読み方であるか、送りがな、返り点の有無、文意などから判断しましょう。
【2】再読文字の二度目の読み
再読文字とは、訓読の際、一字で二度読む特殊な文字です。
・一度目の読み・・・返り点を無視した語順で副詞として読み、漢字かな交じりで書き下す。
・二度目の読み・・・返り点に従って助動詞・動詞として読み、ひらがなで書き下す。
では、次の例文A・Bを書き下してみましょう。
A
「未」は、「いまダ〜(セ)ず」と読み、「まだ〜(し)ない」と訳す再読文字です。一度目の読みは「未だ」と書き、二度目の読みは「ず」とひらがなで書き下します。
B
「将」は、通常「まさニ〜(セ)ントす」と読んで、「今にも〜(し)ようとする」・「〜(する)だろう」などと訳します。一度目の読みは「将に」、二度目の読みは「す」とひらがなで書き下します。
【アドバイス】
以上のように、「日本語の助詞・助動詞に当たる漢字」と「再読文字の二度目の読み」をひらがなに直して、正確な書き下し文が書けるようになりましょう。
これからも、『進研ゼミ高校講座』を使って、国語の力を伸ばしていってくださいね。
国語のQ&Aランキング
- 【格助詞】「の」の識別方法がわかりません
- 【助動詞】「べし」の意味が見分けられない
- 【助動詞】「る」「らる」の意味が見分けられない
- 【疑問形・反語形】「疑問」と「反語」の見分け方
- 【否定形】「部分否定」と「全部否定」の見分け方 ?
全体のQ&Aランキング
- 【動名詞】①<make + O + C >構文の訳し方②間接疑問文における疑問詞の訳し方
- 【数列】Σの和の求め方
- 【関数と極限】∞+∞=∞とは
- 【三角関数】0<θ<π/4 の角に対する三角関数での表し方
- 【指数・対数関数】1/√aを(1/a)^r の形になおす方法
「訓読・書き下し」Q&A一覧
- 【訓読・書き下し】ひらがなに直す漢字が何かわかりません
- 【訓読・書き下し】一二点が出てくると、いつも間違えてしまいます
- 【訓読・書き下し】書き下し方がよくわかりません
- 【訓読・書き下し】置き字の働きがよくわかりません
- 【訓読・書き下し】訓読ができません
- 【訓読・書き下し】返り点が組み合わさると、混乱してしまいます
他の教科のQ&Aを見る
【その他にも苦手なところはありませんか?】
わからないところをウヤムヤにせず、その場で徹底的につぶすことが苦手を作らないコツ。
「進研ゼミ」には、苦手をつくらない工夫があります。