【格助詞】「の」の識別方法がわかりません
「の」の識別方法がわかりません
格助詞の「の」には、主格とか同格などの働きがあると教わりましたが、どう違いを見分ければいいのか、よくわかりません。見分けるコツがあれば教えてください。
進研ゼミからの回答!
こんにちは。
早速、いただいた質問についてお答えしていきましょう。
【質問の確認】
格助詞の「の」には、主格とか同格などの働きがあると教わりましたが、どう違いを見分ければいいのか、よくわかりません。見分けるコツがあれば教えてください。
【解説】
古語の格助詞「の」には、現代語の格助詞「の」と同じような働きがあります。
例えば、次の例文を見てみましょう。
わが心のうちに ⇔ 私の心の中に
草の上に置きたりける露 ⇔ 草の上に降りていた露
公世の二位の兄 ⇔ 藤原公世の二位の兄弟
これらは古語でも現代語でも同じ働き・訳し方(=連体修飾格)をしていますね。
しかし、古語の「の」には現代語ではあまり見られない働きもあります。
まずは、どんな働きがあるかを押さえましょう。
● 格助詞「の」の主な働き(文法的意味)
(1)【主格】 [訳し方]〜が =主語を表す
(2)【連体修飾格】 [訳し方]〜の・〜での・〜のような =連体修飾語をつくる
(3)【同格】 [訳し方]〜で・〜であって
(4)【体言の代用】 [訳し方]〜のもの・〜のこと
(5)【連用格】 [訳し方]〜のように =連用修飾語をつくる
このうち(1)主格、(2)連体修飾格、(3)同格の3つは、文法問題でよく出されるだけでなく、古文を読解するうえで特に重要なので必ずマスターしておきましょう。
● 【主格】【連体修飾格】【同格】の見分け方
主格・連体修飾格・同格のそれぞれの見分け方は以下の通りです。
【主格】
[訳し方] 〜が
「の」を「が」と置き換えた時、主語として文意が通じます。
(例)月のいでたらむ夜は…。 = 月が出たような夜には…。
【連体修飾格】
[訳し方]〜の・〜での・〜のような
「の」の後に体言(人・物などの名詞)がきて、現代語の「の」と同じ使い方です。
(例)世間の人、なべてこのことあり。= 世間の人は、一般にこのことがある。
【同格】
[訳し方]〜で・〜であって
次のような形になる場合、同格の「の」であることがわかります。
1)「 A(末尾が体言) の B(末尾が活用語の連体形)」 という形になる
2)Aの末尾にある体言を、Bの活用語の連体形の後に補ってみた時、
A= B という関係で意味が通じる
少し難しいので、次の例文で詳しく説明しましょう。
(例)連歌しける法師の、行願寺の辺にありけるが…。
この例文の場合、
「(連歌しける)法師」が体言、
「(行願寺の辺にあり)ける」が助動詞「けり」(=活用語)の連体形
で、「 A(末尾が体言) の B(末尾が活用語の連体形)」という形になっています。
次に、Aの末尾にある体言をBの連体形の後に補ってみると、
となり、
という関係が成り立ちますね。
つまり、この例文での「の」は同格であることがわかるのです。
「同格」というぐらいなので、「の」の前後にある A と B は同じ対象のことを表しているわけですね。
また、同格の「の」を含む文を現代語訳する時には、
・「の」は「〜で・〜であって」と訳す
・ A の末尾にある体言を B の連体形の後に補って訳す
ということを覚えておきましょう。
先の例文ですと、
(例)連歌しける法師の、行願寺の辺にありけるが…。
=連歌をしていた法師で、行願寺の付近に住んでいた法師が…。
と訳します。
格助詞「の」が、例えば「同格」なのか「主格」なのかによって、読み取れる内容は大きく違ってきます。つまり、「の」の識別ができるようになると、文法問題だけでなく、読解をするうえでもより正確に文章の内容をとらえられるようになるのです。
【アドバイス】
「の」は非常によく出てくる語の1つなので、それがどのような働きをしているのか、普段から意識しながら古文を読むようにするとよいでしょう。
これからも、『進研ゼミ高校講座』を使って、国語の力を伸ばしていってくださいね。
【その他にも苦手なところはありませんか?】
わからないところをウヤムヤにせず、その場で徹底的につぶすことが苦手を作らないコツ。
「進研ゼミ」には、苦手をつくらない工夫があります。