【酸と塩基】希釈してもpH7を超えないのはなぜ?
希釈してもpH7を超えないのはなぜ?
強酸・強塩基の水溶液を希釈していくと,pHは7に近づくが,7は超えないとありますがなぜですか?
もしpH=6の強酸の水溶液を100倍希釈したらpHはどうなりますか?
進研ゼミからの回答!
こんにちは。 さっそく質問に回答しますね。
【質問の確認】
・強酸の水溶液を10倍ずつ希釈すると,pHは1ずつ増加し,7に近づく(7は超えない)。
・強塩基の水溶液を10倍ずつ希釈すると,pHは1ずつ減少し,7に近づく(7は超えない)。
という解説について,なぜ,希釈してもpHが7を超えないのか,というご質問ですね。
【解説】
強酸・強塩基の水溶液を10倍ずつ希釈していくと,始めのうちはpHは1ずつ変化します。
どんどん希釈して水溶液の濃度が薄くなると,水溶液の水素イオン濃度[H+]は水がわずかに電離して生じている[H+]の影響を受けやすくなります。
では,pH6の塩酸(強酸)を100倍に希釈したときのpHについて考えてみましょう。
塩酸の水素イオン濃度を[H+]HClと示すと,pH=6のとき[H+]HCl=1.0×10−6〔mol/L〕です。
これを100倍に希釈すると,[H+]HCl=1.0×10−8〔mol/L〕となります。
このとき,水の電離によって生じている水素イオン濃度[H+]H2Oをc〔mol/L〕とします。
したがって,100倍に希釈したときの水素イオン濃度を[H+]とすると,
[H+]=[H+]HCl+[H+]H2O=(1.0×10−8+c)〔mol/L〕となります。
また,水の電離によって生じている水酸化物イオン濃度[OH−] H2Oは[H+]H2Oと等しくc〔mol/L〕です。
水のイオン積KW=[H+][OH−]=1.0×10−14〔(mol/L)²〕より,
(1.0×10−8+c)×c=1.0×10−14となります。
これはcについての二次方程式ですから,これを解いてcを求め,[H+]を導き,pHを求めますが,途中の計算は複雑なので省略します。
c=9.5×10−8〔mol/L〕となり,[H+]=1.0×10−8+9.5×10−8=1.05×10−7〔mol/L〕
よって,pH=−log10[H+]=−log10(1.05×10−7)=7−log101.05≒6.98 となります。
(log101.05=0.02より)
この結果からも,pHは7に近づいていますが7は超えないことがわかります。
【アドバイス】
強酸・強塩基の水溶液を希釈していくと,pHは7に近づくが7は超えないことの理由を問う問題はよく出題 されます。チャレンジの要点チェック問題に同じような問題がありますので取り組んでみましょう。
この機会に正しく理解しておきましょう。
今後も『進研ゼミ高校講座』を使って,得点を伸ばしていってくださいね。
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