【イスラーム世界の形成と発展】イスラーム世界の王朝について
イスラーム世界の王朝について
イスラーム世界では王朝がたくさん出てきて、混乱してしまいます。
進研ゼミからの回答!
【質問の確認】
イスラーム世界では王朝がたくさん出てきて、混乱してしまいます。
【解説】
イスラーム世界では各地に王朝が成立し混乱してしまいがちですね。
今回はイスラーム教が成立したムハンマド時代から、大規模な征服活動がおこなわれた正統カリフ時代、アラブ人が特権をもっていたウマイヤ朝、そしてイスラーム教徒が平等になったアッバース朝までをみていきましょう。
●ムハンマド時代
メッカの商人ムハンマドは神アッラーの言葉を聞いて、イスラーム教を始めたのですが、富の独占を批判したのでメッカで迫害され、少数の信者とともにメディナに移住します。これをヒジュラ(聖遷)といいます。
その後、ムハンマドはメッカを征服し、カーバ神殿をイスラーム教の聖殿に定めました。
そして、ムハンマドが死亡し、正統カリフ時代が始まります。
●正統カリフ時代(632〜661年)
ムハンマドの死後、イスラーム教徒はムハンマドの後継者として、カリフを選出します。そして、カリフの指導のもとにジハード(聖戦)をおこない、東方ではニハーヴァンドの戦いでササン朝を破ってメソポタミアやイラン高原を、西方ではビザンツ帝国を破ってシリア・エジプトを奪いました。この正統カリフ時代も第4代カリフのアリーが暗殺され終わります。
●ウマイヤ朝(661〜750年)
正統カリフ時代の第4代カリフであるアリーが暗殺されると、ムアーウィヤがシリアのダマスクスを首都にウマイヤ朝を開きます。ウマイヤ朝は信者による選出だったカリフをウマイヤ家の世襲とし、カリフの地位を継承していきました。
また、ウマイヤ朝はジハードを続けイベリア半島の西ゴート王国を滅ぼすなど領土を拡大し、大帝国を形成しました。下の地図で確認してくださいね。
ウマイヤ朝では征服地の先住民(非アラブ人)がイスラーム教に改宗しても人頭税(ジズヤ)と地租(ハラージュ)は免除されませんでした。それに不満をもつ征服地の新改宗者はアッバース家の革命運動に協力してウマイヤ朝を倒し、アッバース朝が成立します。
●アッバース朝(750〜1258年)
アッバース朝が成立すると、ウマイヤ朝の一族はイベリア半島にのがれ、コルドバを首都に756年に後ウマイヤ朝を開きます。また、751年にはアッバース朝は中央アジアで唐と戦い(タラス河畔の戦い)、捕虜の紙すき職人から製紙法を習います。
そしてティグリス川中流に新首都バグダードを建設し、第5代カリフのハールーン=アッラシードの時代に最盛期を迎えたのです。このカリフは『千夜一夜物語(アラビアン=ナイト)』に登場することでも有名です。アッバース朝でイスラーム教徒の平等が確立したこともおさえておきましょう。
【アドバイス】
イスラーム王朝はこの後も各地に成立していきます。イスラーム王朝をおさえるためには、時代(世紀)と地域(西アジア・エジプト・イベリア半島・アフリカ・中央アジアなど)に分けることがポイントです。その時、『チャレンジ』や教科書の地図で領域を確認していきましょう。そして、王朝の首都と重要なカリフについておさえることから始めましょう。
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