【幕藩体制の展開】貨幣の改鋳について
貨幣の改鋳について
貨幣改鋳を行った際に、金の含有量を減らした質の劣る貨幣が世に出回ると物価高騰が起きるのはなぜですか?
進研ゼミからの回答!
こんにちは。
それではさっそく、質問について回答させていただきます。
【質問の確認】
貨幣改鋳を行った際に、金の含有量を減らした質の劣る貨幣が世に出回ると物価高騰が起きるのはなぜですか?
【解説】
貨幣の価値<物価(モノの価値)の状態になるからです。
貨幣の流通と物価の関係は一般的に次のような動きを見せます。
*流通する貨幣の量が増えると貨幣の価値が下がり、相対的にモノの価値が上がって(高価でも買うから)物価が高騰する(インフレーション)。
*流通する貨幣の量が減ると貨幣の価値が上がり、相対的にモノの価値が下がり(たくさんあっても売れないから)物価が下落する(デフレーション)。
現在の(管理通貨制度による)通貨は、「10円」と表示されていれば、金属(硬貨)でも紙(紙幣)でも10円の価値があります。つまり額面が価値です。
でも江戸時代の通貨は実際に金(銀)で作られています(金銀が含まれた金属で作られている)
そのため、金銀含有率により価値が違ってきます。
たとえば小判の場合、額面には金一両とあります。
「金一両」の「両」とは、重さの単位なのですが、小判の重さや金の含有量が変わっても、小判一枚を一両としていたため、貨幣単位として定着しました。幕府は、金の産出量の減少や幕府の財政難補填のため、金の含有量や小判の重さを減らすことを目的に貨幣改鋳をおこないました。
額面は金一両で変わらないようでも、実際には金一両の価値は金の含有量や品質などによって変わってしまうところが現在の通貨とは異なります。
改鋳によって金の含有率を減らすことで小判の発行量を増やすことができますが、その結果インフレーションとなって物価の高騰を招くことになるのです。
ただし、享保の改革では考え方が上とは逆で、良質な享保金銀の金銀含有率を維持するために緊縮財政を続けていました(通貨の価値を下げないことを優先して発行量を少なくする)。
その結果、米などの物価が下落してしまったので(デフレーション)、貨幣改鋳をおこない金銀含有率を下げることにはなりますが、貨幣流通量を増やし、物価の上昇をはかる(デフレーションの抑制)という政策をとったのです。
【アドバイス】
インフレーションにしてもデフレーションにしても、極端に針が振れた状態にあるわけです。
貨幣価値と物価の関係とは均衡の取れた安定した状態が理想的なので、その状態にできるだけ近づけるために、インフレ傾向に持っていく、あるいはデフレ傾向に持っていくようにするのが経済政策であると考えると、少しわかりやすくなるのではないでしょうか。
それではこれで回答を終わります。これからも、『進研ゼミ高校講座』にしっかりと取り組んでいってくださいね。
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