【過去形・敬語】漢文にも過去形や敬語がありますか?
漢文にも過去形や敬語がありますか?
同じ漢文なのに、過去形で訳されているときと、そうでないときがあります。漢文では時制はどうやって見分けるのですか。
また、漢文にも敬語はあるのですか。
進研ゼミからの回答!
こんにちは。
早速、いただいた質問についてお答えしていきましょう。
【質問の確認】
同じ漢文なのに、過去形で訳されているときと、そうでないときがあります。
漢文では時制はどうやって見分けるのですか。また、漢文にも敬語はあるのですか。
【解説】
古文では「助詞・助動詞をしっかり訳すことが大切」といつも注意されているのに、漢文でそれをしようとしても、判断できなかったり、解説で現代語訳を見たら自分の訳と違っているなどの経験があるのではないでしょうか。漢文では、古文ほど細かく見ていく必要はありませんが、過去形、敬意が含まれている敬語の訳出が必要な場合もあるので確認していきましょう。
【過去形】
日本語は「〜した。」「〜だった。」というように、文末で時制を表し、英語では「runーran」のように単語の形が変化しますが、漢文は時制によって変化することはありません。文法上の「過去形」というものはありません。
それでは、現代語訳で過去形に訳されていることがあるのはなぜでしょうか。
それは、文中の語句や、状況、前後の文脈で判断しているためです。
過去形で訳したほうが自然なケース、過去形で訳すと不自然なケースもあるのでケースごとに覚えておきましょう。
過去形で訳したほうが自然なケース
●「嘗(かつ)テ」「過日」のように、過去の出来事であることを示す語句があるとき
●「つひ(終・遂・卒)ニ」のように、物事が完了したことを示す語句があるとき
●送りがなで過去、完了の助動詞が用いられている場合
●史実や、人物の過去の言動について述べられているとき
過去形で訳すと不自然なケース
●明らかにまだ起きていない出来事について述べているとき
●「ん(む)」のように推量の語を表す送りがながあるとき
●一般論や客観的事実を述べているとき(例、「ペンギンは鳥だ」など)
以上のことを押さえて次の例文を訳してみましょう。
左の文章を訓読してみると
卒に天下の笑ひと為る。(つひにてんかのわらひとなる。)
となります。
文章の中に物事が完了したことを表す語句「卒に〔=とうとう〕」があるので、過去形で訳したほうが自然なケースになります。
したがって、訳は
「とうとう世の中の笑いものとなった。」
となるのです。
【敬語】
敬意を訳出する必要のある語や、敬意を含んだ漢字、会話で使われる人称代名詞の尊称・謙称を覚えておきましょう。
敬意を訳出する必要がある語
●「対(こた)フ」・・・目上の人の質問に答えるときに用いる
→「お答えする」と訳す
●「見(まみ)ユ)」・・・「会う」の謙譲語
→「お目にかかる」、「拝謁する」と訳す
●「献(けん)ズ」「奉(たてまつる)ル」・・・目上の人に物をあげるときに「差し上げる」と訳す
会話文中で用いられる人称代名詞の尊称・謙称
二人称の尊称(「あなた」などと訳す)
●「子(し)」、「君(きみ)」、「公(こう)」、「卿(きやう)」
一人称の謙称(「私」「私め」などと訳す)
●「臣(しん)」・・・臣下が君主に対して使う
●「寡人(くわじん)」・・・君主が謙遜して使う
●「孤(こ)」・・・王侯が謙遜して使う
●「妾(せふ)」・・・女性が謙遜して使う
【アドバイス】
「漢文には明確な過去形・敬語はそれほど多くなく、使われる語や前後の文脈から過去形・敬語で訳す」と覚えておきましょう。
これからも、『進研ゼミ高校講座』を使って、国語の力を伸ばしていってくださいね。
【その他にも苦手なところはありませんか?】
わからないところをウヤムヤにせず、その場で徹底的につぶすことが苦手を作らないコツ。
「進研ゼミ」には、苦手をつくらない工夫があります。