大問数・解答数

大問数は6で、解答数は33個でした。第1問と第2問は『公共』と「公共、政治・経済」との共通問題でした。

出題形式

文章選択問題を中心に出題され、選択肢の数が多い問題が目立ちました。

出題分野

昨年の倫理と同様に特定の分野に偏ることなく、幅広く出題されました。第５問では新課程で新たに追加された認知に関する心理学の分野が、現代の諸課題や思想と絡めて出題されました。

問題量

昨年の倫理並みでした。

難易

昨年の倫理並みでした。

第1問「男女共同参画の推進」（12点・標準）

『公共』と「公共、政治・経済」との共通問題で、男女共同参画の現状と制度改革を中心に、人権などの学習事項の理解が問われました。問2では性別役割意識の性別・年代ごとの比較が出題されました。

第2問「公共空間の持続的な形成に向けて」（13点・標準）

『公共』と「公共、政治・経済」との共通問題で、公共空間の在り方をテーマに設定した生徒たちが探究学習を進める構成でした。問1ではハーバーマスとアーレントの思想の理解が問われ、問3と問4では哲学カフェやICTをテーマに、抽象的な概念や構想を具体例に当てはめる出題が見られました。

第3問「芸術と宗教について」（28点・やや難）

源流思想・西洋思想分野を中心に出題されました。問5では仏教に関する詳細かつ多面的な知識が求められ、受験生は判断に苦しんだのではないかと思われます。問9では、場面1～3の会話の趣旨と知識の両方を求める問題で、選択肢について正答を選びにくく、やや難しかったです。

第4問「外来思想と伝統」（15点・標準）

日本思想分野から幅広く問われました。問2では親鸞の「悪人正機」についての思想が理解できているかがポイントでした。問5ではレポート中の「雑居」という用語について、加藤周一と丸山真男の判断に迷った受験生も多かったでしょう。

第5問「記憶と認知」（16点・標準）

新課程で新たに追加された認知に関する心理学の分野を中心に出題されました。問3では思想家の思想とクリティカル・シンキングを対応させる問題があり、新しい心理学の用語に戸惑った受験生もいたかもしれません。問5では災害時における認知バイアスについて考察し、環境整備の方向性とそこから導かれる具体的な対処法を選ぶ連動型の問題が出されました。

第6問「平和の実現について」（16点・標準）

現代の諸課題分野が思想と絡めて出題されました。問2では会話の文脈を踏まえて、フーコーの近代化に関する知識と結びつけて考えることが求められました。問4では会話の中で提示された3つの特徴すべてに合致する事例を選ぶ必要があり、解答に時間がかかったと思われます。