初級編

小論文とは?

小論文に取り組む前に誰もがぶつかるのが 「そもそも 小論文って何?」 「作文とどう違うの?」 という疑問だろう。 作文と比較することで、 小論文とは何かを見ていこう!

小論文と作文の違いとは?

小論文 意見 = 私はこう考える。理由 = なぜなら~だからだ。で成り立つ文章 作文 体験や感想を書いた文章 小論文 意見 = 私はこう考える。理由 = なぜなら~だからだ。で成り立つ文章 作文 体験や感想を書いた文章
小論文
小論文は、 問われていることに対して「私は、~と考える。」という意見を述べ、「なぜなら、~だからだ。」という理由(論拠)を筋道立てて説明し、 相手を説得する文章のこと。 論理性や説得力の高さにポイントが置かれる。
作文
作文は、「~だと思う。」「~して楽しかった。」など、ある出来事から自分の心境や感想を述べた文章のこと。文章の流れ、 感性の豊かさ、表現のうまさなどにポイントが置かれる。
POINT
  • 小論文に求められているのは「考える力」であり、読み手を説得する力。
  • 文章全体が「意見」と「理由(論拠)」という構造になっていなければ小論文とは言えない。

中級編

小論文の書き方・考え方の基本ステップ

いよいよ、小論文を書く…というスタート地点に立ったのはいいけれど、一体どうやって考えて何を書けばいいのだろう?
それは、次の5つのステップを踏むこと!

01 設問を読む 02 資料を読む 03 構想を練る 04 構成する 05 表現する 01 設問を読む 02 資料を読む 03 構想を練る 04 構成する 05 表現する
step01

設問を読む

何を書けばいいのかきちんとつかむ
「問われていること」 は何かを読みとって、設問の条件を確認し、出題者の意図をつかむ。

step02

資料を読む

資料を客観的に読みとる
資料として文章を与えられることが多い。重要箇所(特に、筆者の意見とその理由が書かれている箇所)に線を引きながら読むのがおすすめだ。

step03

構想を練る

自分の考えを深め、固める
問いに対して、疑問をぶつけたり、視野を広げたりして、自分の考え(意見)を考える。そして何を書くのかを絞り込む。「意見」と「理由(論拠)」の形にしておくとよい。

step04

構成する

「構想メモ」で考えを整理し、全体の流れを決める
自分の意見とその理由(論拠)の筋道を考えながら、文章の流れを決め、そのうえでざっと自分でチェックしてみる。

step05

表現する

意見と理由(論拠)をわかりやすく書く
文章の流れをつかんだら、段落分けをしながら文章にする。わかりやすい表現を心がけ、原稿用紙の使い方に注意して書く。

合格答案を書くための
「構想メモ」

「構想メモ」とは?

首尾一貫した答案にするには、いきなり答案に書き出すのではなく、まず自分の「意見」と「理由」を整理した答案の設計図をつくることが大切だ。
ここではその設計図=「構想メモ」の作り方を大紹介!

構想メモの例

  • 進研ゼミ 『小論文特講』 「小論文ハンドブック」 より

「構想メモ」 の作り方

上の例のように、

  • 設問の問いかけに対する自分の意見
  • なぜその意見が最も有効なのかという理由
  • ②の理由を説明するために適切な具体例
  • 理由②と具体例③を踏まえたうえで、意見①をまとめ直した意見

という形でメモを書き出してみよう。
この際、正しいものだけを書き出そうとするのではなく、思いついたものはいったんすべて書き出してみて、論の流れが一貫するものに〇をつけ、脱線してしまうものは消し込みながら、整理していくのがコツだ。

構想メモをもとに清書する

構想メモの構成をもとに清書しよう。段落分けも構成に合わせればOKだ。

【序論】
論点と意見(文章全体の5~15%)
「私は~について●●と考える」
【本論】
理由と具体例(文章全体の65~80%)
「なぜなら△△だからだ」(理由)
【結論】
意見のまとめ(文章全体の10~20%)
「したがって、〇〇と考える」

600字程度の小論文なら3~4段落ほどがめやすだ。

上級編

入試ではどんな問題が出るの?
学部系統別 出題傾向

学部系統によって、小論文入試で問われる内容もかなり違う。きみの志望学部では、どのような出題が多いのかを確認して、今後の対策に生かそう!

  • 人文系

    人文学部、文学部、文化学部など

    人文系では、人間・文化・言語・知など、人文系ならではのテーマの日本語の文章が資料として課される出題が大半だ。これらのテーマについて、「具体例を挙げたうえで意見を述べよ」という設問が多い。資料文の内容を読みとったうえで、その内容に当てはまる、自分なりの新たな具体例を示す練習をしておこう。

    難関大では、具体例が少ない、抽象度の高い資料文が多くなり、設問指示が「~について考えを述べよ」などシンプルになるため、自分で論点を設定する必要がある。

    また、人文系では意見論述だけでなく、要約問題などの資料文読解力も重視されるので、時間内に資料の要点をつかむ練習も大切だ。

  • 社会・総合系

    社会学部・社会福祉学部など

    現代社会の様々な問題への関心が要求される学部系統であり、情報社会、エネルギー・環境、少子高齢化など、いわゆる「小論文の定番テーマ」が広く出題される。現代社会の課題を解決するために、現在どのような施策が行われているのかを、ニュースや新聞で情報収集しておくと役立つ。

    資料は文章だけでなく、グラフなど統計資料の出題も多い。現代社会の教科書などにも載っている、日本の人口の推移・構成を示すグラフや、エネルギー供給源の構成グラフなどは最頻出だ。

    設問としては、意見論述の前にグラフの説明を求める出題も多いので、グラフ読解の練習もしておきたい。

  • 教育系

    教育学部・教員養成系など

    教育や子どもの成長に関して問題提起した資料を提示し、それを踏まえて「どのような教育者を目指すのか」「どのような授業・指導を行いたいのか」といった将来の展望を問う出題が多い。

    難関大も含めて、難解な資料が出題されることは少なく、具体的な指導場面のエピソードなどを挙げた読みやすい文章が与えられることが多い。グラフ資料が提示される場合もある。

    また、教員養成系においては、専門とする教科にかかわる学問系統(例えば、国語なら人文系、英語なら人文系や語学・国際系、理科なら農・水産系や理・工系など)のテーマでの出題もある。志望大ではどのようなテーマが出題されているか、チェックしておきたい。

  • 語学・国際系

    外国語学部・国際学部・国際文化学部・文学部(海外文学)など

    語学・国際系では、「文化・異文化」「言語」を核に、言葉の変化、異文化への対応、国際関係など、多彩な出題が見られる。他の文系学部よりも英語資料文の出題率が高いことも特徴だ。志望大が決まったら、過去に英語資料が出題されているかをチェックしておきたい。

    また、社会学系寄りの学部・学科では、資料で提示された課題について、具体的な解決策・対応策を求める設問も多い。現在、国際関係や異文化間交流において、どのような課題があり、その改善にどのような手法がとられているか、日本の事例に限らずニュースや新聞をチェックしておきたい。

  • 理・工系

    理学部・工学部・理工学部・都市環境学部(建築系)など

    理・工系では、「資料内容の説明+300~500字程度の論述」といった設問で、テーマに対して具体的な解決策やアイディアを提案する出題がよく見られる。長文の資料は少なく、資料がない課題小論文型の出題も多い。

    資料を手掛かりにできない場合には、自然環境や最新技術に関する基礎知識が必要だ。ふだんから新聞やニュースに目を通し、新しい技術に関する取り組みや、そこで見えてきた課題について、情報を仕入れておくとよい。

    また、他の学部系統よりも解答字数が少ない傾向にあるため、簡潔に要点を説明する力が必要となる。

  • 医・歯・薬系

    医学部(医学科)・歯学部・薬学部など

    医・歯・薬系では、「日本語の文章資料を読み、論述する」という、定番の小論文以外の出題形式も目立つ。

    他の学部系統よりも英語資料文の出題率が高いほか、設問に答える際に理科の知識や数学の計算などが前提になった出題がされる場合もある。志望大の過去問をまず確認しておきたい。

    自分の意見を論述するだけでなく、その前に、100~200字程度で資料の内容を説明する設問がつくことも多い。つまり、英語の読解力、計算力などの教科力、簡潔に説明する力なども「意見論述力」以外に要求される。

  • 看護・医療技術系

    看護学部・医学部(看護・医療系)・保健学部・健康科学部など

    日本語資料文のほか、英語の資料文、グラフの出題もよく見られる。志望大で過去にこうした出題がある場合は、英文の読解や、グラフ読解の練習もしておきたい。

    また、解答字数は1000字を超える場合もあるなど、多めに設定されている傾向がある。

    出題テーマとしては、専門領域である医療・健康のほか、コミュニケーションや、子ども、高齢者など、「人間」を中心にしたものが多い。読解において専門知識はあまり要求されないが、「医療従事者として何を大切にするのか」という自分の考え方の軸が問われる傾向にある。

  • 経済・経営・商学系

    経済学部・経営学部・商学部など

    経済・経営・商学系では、情報化、労働、少子高齢化など現代社会の諸問題について広く出題される。どのテーマであっても、「経済・経営・商業の切り口から、社会問題を考察する」視点で書くことが求められていることに注意。

    つまり、地域活性化のアイディアを書くにしても、当然「地域の経済の活性化」の視点を念頭に置くということだ。資料は文章のほか、グラフなど統計資料の出題も多く、データを読みとる力も問われる。

    難関大になると、財政・経済・企業経営など、高校生が苦手としがちなテーマについて問われやすくなる。現在の政策や経済の動向、日本国内に限らず現在行われている施策について、ニュースや新聞から情報収集しておきたい。

  • 農・水産系

    農学部・畜産学部・水産学部・獣医学部・生命環境学部など

    農・水産系では資料のある小論文の出題がほとんどで、文章のほか、グラフや図の出題も多い。グラフ・図の問題では、その読みとりや分析を書くという設問もよく見られるので、意見論述だけでなく、グラフ・図から読みとった内容を簡潔に記述するという練習もしておこう。

    出題テーマとしてよく見られるのは、「食」「環境」「農業や水産業の活性化」「生物多様性」などだ。

    解答字数は様々だが、300字程度の短い論述もよく課される傾向にあるため、簡潔にまとめる力をつけておきたい。

  • 法・政治系

    法学部・総合政策学部・地域学部など

    政治や民主主義、法制度、人口減や高齢化を踏まえた地方創生など、志望学部にかかわるテーマが、時事を反映した形で出題される。公共政策・地域政策系の学科では、グラフなど統計資料の出題も多い。

    他の社会科学系学部に比べると資料がやや長く難しい傾向、また、解答字数も多い傾向もあるので、読解の練習や解答時間を意識した対策も重要だ。

    難関大になると、具体的な事例を紹介する資料文ではなく、「法とは」「民主主義とは」など、抽象度の高いテーマについて意見を述べることを求める出題が増える。公民分野の教科書や資料集、初心者向けの新書などを読んでおくと役立つだろう。

  • 生活科学系

    生活科学部・家政学部・子ども学部・食物栄養科学部・環境学部(住居分野)など

    「環境」「少子高齢社会」などの小論文定番テーマのほか、衣・食・住といった生活系統の各分野に即した資料がよく出題される。具体的なエピソード・事例が書かれた資料文を読み、それをもとに、資料から見える社会の課題と、その解決策を考え、述べるという出題が多い。文章だけでなく、グラフが出題される場合もある。

    社会の課題への解決策を述べるためには、いま社会でどのような取り組みがされているのか、新聞やニュースなどで情報収集しておくことも大切だ。家庭科や公民の教科書や資料集も役に立つ。

どういう小論文が評価されるの?

合否を分けるのは「論理的かどうか」

小論文の評価ポイントとして、入試要項などでは「論理的であること」のほか、「表現力」「独自性」が挙げられている。その際に、「目指す学問分野について、誰にも思いつかないようなアイディアを、魅力的で美麗な文章で書かねばならない」と思ってしまう受験生も多いが、「小論文」で求められる「表現力」「独自性」はそうした意味ではない。
上の図を見てみよう。これは、入試小論文の論述レベルと、合格レベルを示している。

ここからわかるように、深い専門知識や斬新なアイディアで合否が分かれるわけではない。合否を分けるのは「『意見』と『理由』を論理的にわかりやすく書けているかどうか」だ。
また、資料文の読解が不十分であったり、設問の問いかけに答えていない・ずれている答案は、どんなに斬新な発想や魅力的な文章であっても、不合格になってしまうこともわかる。こうした答案は非常に多い。

独自性…
資料文や誰かの意見そのままではなく、自分なりの「意見」「理由(と具体例)」を挙げている
表現力…
論理的にわかりやすい説明ができている

と考え、この2つを満たす答案をめざそう。

ありがち答案を改善して合格答案に!

小論文上達の秘訣は、ほかの人に答案を見てもらうこと。自分では気づきにくい改善点も客観的に指摘してもらえるので、おすすめだ。
ここでは、多くの小論文答案を添削してきた個別指導のプロ、進研ゼミの「赤ペン先生」に聞いた、答案のレベルをUPさせるコツを紹介する。
小論文の答案によく見られる「惜しい!」ポイントも、ちょっとしたコツがわかれば、改善できる。

資料文の内容をなぞっただけで、自分の意見がない!

小論文の資料として出される文章は説得力もあるので、資料文の筆者の意見と同じことを書いて終わってしまう答案がよく見られる。

「赤ペン先生」からのアドバイス
「理由」にあなたらしさが表れる!

まずは筆者の意見に賛成か反対かなど、自分の立場と、なぜそう考えるのかという理由を書いてみましょう。例えば「高校に制服は必要だ」という筆者の意見に賛成で、理由は「きちんと見えるから」と考えたのなら、さらに「なぜ、きちんと見える必要があるのか?」など、理由を掘り下げて深めていくと、自分なりの論を展開できますよ。

うまく書こうとしすぎて、中身が薄い!

「小論文」というと、何か立派なことを書かなければと、気取った言い回しを多用したり、専門的な知識がないと書けないんじゃないかと、尻込みしてしまったり…というのもありがちなケースだ。

「赤ペン先生」からのアドバイス
カッコつけると漠然とした論になりがち!

「今後は人々のたゆまぬ努力が必要だ」などと書くと、一見立派なようで実は「みんなでがんばろう」くらいの内容でしかないですよね。小論文だからって、壮大なことや専門的なことを書く必要はありません。大事なのは、他人の受け売りではない自分の考え(意見)とその理由をしっかり書くこと。そのためには、一般論でなく、「自分ならどうだろう」と考えて、現実的・具体的な意見を出すことを意識しましょう。

同じことのくり返しになっている!

「高齢者の社会参画を進めるべき」「定年退職後も社会と関われるような制度づくりを…」など、よく見ると、意見を別の言い方でくり返して、字数を使ってしまっている答案も少なくない。

「赤ペン先生」からのアドバイス
問いに対する意見と理由の説明に文字量を使おう!

意見のくり返しで、肝心な「理由」の部分が薄くなってしまうのは、全体構成を決めずに書き始めるから。原稿用紙に清書する前に、「構想メモ」に盛り込む内容や流れを書き出すといいですよ。

よくあるお悩み解決

小論文のお悩み解決!

  • 文体は「です・ます」調、「だ・である」調のどちらで書けばよい?

    基本は「だ・である」調です。「です・ます」調で書いて減点されることはありませんが、「~である/~だろう」と「~でしょう/~なのです」の違いのように、文字量が増えがちです。自分の意見を簡潔に明確に伝えるためにも、「だ・である」のほうが使いやすいと言えます。また、「だ・である」調の場合も、「~と言えるかもしれないが」のような回りくどい言い方は用いず、「~と言える/~だ」とはっきり言い切るように書きましょう。

  • いつから対策を始めればよい?

    あなたが受験する小論文の試験日などにより異なりますが、本番までに最低10題は書くことがめやすになります。他科目の対策と並行しながら、書く→添削を受ける→復習する を10回くり返せるスケジュールを立ててみてください。

  • 専門分野の知識がないので、小論文を書ける自信がありません。

    知識はあるに越したことはありませんが、資料で「知識」を提示してくれる入試が多いので、ないとまったく書けないわけではありません。また、知識を書けても「意見+理由」に結びつかず、「知っている自慢」にしかならない小論文は評価されません。

  • ニュースや新聞の見方を教えてください。

    まず見出しに注目し、今何が社会で課題になっているかをチェックします。そのうえで、記事を読む際には「その課題に対して、どのような取り組みがされているのか」「志望学部系統では、どのような貢献ができそうか」を考えてみましょう。常に志望分野に引きつけて考えることが、小論文の「独自性」の源になります。

  • 「新聞を読んで自分の意見を書く」という対策はやったほうがよい?

    志望大の過去問で時事的な話題がよく課されている場合や、社会学系の学部志望で、演習問題の数が足りないときに有効です。その際は、社説など「意見+理由」が明確な文章を選びましょう。また、社説の「意見+理由」を200字ほどでまとめる練習をすると、要約問題の対策にもなります。

  • 本番で、「構想メモ」にはどのくらいの時間をかけるべき?

    まず、過去問で、①指定字数を「書く」ことにかかる時間 ②資料を読解する時間を計ってみましょう。①②の時間+予備10分、見直し10分として、残った時間が構想メモ、つまり下書き・設計図の時間となります。構想段階で何をどの順序で書くのかをしっかり練っておいたほうが、内容のブレがない小論文になります。

  • 資料文がある場合、どのように読解すればよい?

    資料文についても、その文章の「意見+理由」を読みとりましょう。資料文の要約問題も同様です。資料文の「意見+理由」を指定された字数でまとめることになります。

  • 意見が浮かばないときの方法は?

    示されているテーマ・論点に対して、「私は●●と考える」という意見が思い浮かばないときは、まずは「賛成か、反対か」という二択から考えてみるのがよいでしょう。

  • 具体例が思いつきません。

    まずは身近なところから考えてみましょう。例えば「災害時のSNS活用のありかた」の具体例も、いきなり海外の事例や最新技術を挙げようとせず、自分が見聞きしたことから考えてみてください。見聞きした情報がない場合も「この地域に住む、この年齢層の自分が、災害時のSNSで何を知りたいか」と、まず自分に引き寄せて考えましょう。そのうえで異なる地域、異なる世代…と広げていくほうが思いつきやすくなります。

  • 英語資料文が出題される場合の注意点は?

    資料の「意見+理由」を読みとることが大切なのは、資料が英語の文章であっても同じです。英語資料文の小論文が課される場合、医学系や国際系など、その学部の内容に沿ったテーマであることが多い傾向があります。過去問を確認し、そのテーマの英文に慣れておくのも対策として有効でしょう。

  • グラフ資料読解の注意点は?

    1)まず大きな特徴に注目し、そこから詳細を説明する 2)資料から読みとれる事実と、そこから自分が推測したことを混同させて書かないの2点に特に注意しましょう。

番外編

志望理由書について

志望理由書にも「理由(根拠)」が必要

学校推薦型選抜や総合型選抜といった推薦入試では、学力だけでなく、志望大・学部や学問分野に対する、学び続ける意欲が重視される。これを評価するために受験生本人が作成し、提出するのが「志望理由書」だ。
「志望理由書」は試験ではなく提出書類なので、これだけで合否が決まるわけではないが、ここに書いた内容をもとに「面接」で質問がされるので、重要な書類といえる。

「意欲が重視される」といっても、「この大学で学びたいです!どうしても学びたいです!」と連呼するだけでは説得力のある志望理由書にはならない。小論文同様に、志望理由書においても、「志望大で学びたい」という「意見」だけでなく、その根拠となる「理由」が重要になる。
志望理由書における「ここで学びたい理由」とは、以下だ。

  • この大学・学部で何をどのように学び、将来は何を実現したいのか
  • この大学・学部で学ぶにふさわしい、どのような力や実績があるのか
  • なぜ、ほかの大学ではなく、この大学で学びたいのか

自分らしさがキラリと光る志望理由書を書くために

「自分が志望大で何をどのように学び、将来は何を実現したいのか」「この大学・学部で学ぶにふさわりい、どのような力や実績があるのか」「なぜほかの大学ではなく、この大学で学びたいのか」を伝えるために、次のことを意識し、書き出してみることがおすすめだ。

①めざす将来像を具体的に掘り下げる

例えば「教員になるために学びたい」「生徒に寄り添う教師になりたい」というだけでは、教員養成系を志望する人はみなほぼ同じで、差がつかない。
さらに「生徒に寄り添うとは何ができる教師なのか」「そのために大学で学んで身につけるのはどういう力や知識だと考えるのか」を掘り下げ、考えよう。

②自分だけの経験を大事にして掘り下げる

志望理由書で伝える「学ぶための力や実績」は、必ずしもコンクールや大会での優勝や、留学経験、難関資格取得でなくてもよい。
優勝できなかったとしても、例えば3年間頑張った部活で工夫したことや、 「計画的に取り組む」「周りと協力する」など、自分が大事にしていた取り組み方はないだろうか。それは、志望する学問を学ぶうえでどう生かせるだろうか。こうした視点でアピールできる自分の強みを考えてみよう。

③ほかの大学の特徴も調べて比較してみる

「看護師の資格が取りたいから」「留学ができるから」などの理由だけでは、大学側は「では、看護師の資格がとれる/留学ができるほかの大学でもよいのでは?」と当然感じる。
「ほかの大学ではなく、この大学でなければならない」という強い意欲を伝えるためにも、志望大の特徴を調べるだけでなく、同じ学問が学べる他大学も調べ、特徴を比較してみよう。

  • カリキュラムや授業の形式
  • その大学で特に力を入れている研究
  • 大学・学部のアドミッション・ポリシー

などをまず調べてみるとよい。
①で考えた「自分が学び、身につけたいこと」を学ぶうえで必要なこと、役立つ特徴であると「だから、この大学こで学びたい!」という意欲の説得力が高まる。

  • アドミッション・ポリシーとは
    入学者の受け入れ方針。 どんな人に学生として入学してもらいたいかが、 大学・学部ごとに示されている。
志望理由書を書く際の3つのPOINT
  • この大学・学部で何をどのように学び、将来は何を実現したいのか
    −めざす将来像を具体的に掘り下げよう
  • この大学・学部で学ぶにふさわしい、どのような力や実績があるのか
    −自分だけの経験を大事にして掘り下げよう
  • なぜ、ほかの大学ではなく、この大学で学びたいのか
    −ほかの大学の特徴も調べて比較しよう