2015年度出題傾向分析

2015年度出題傾向分析地学

地学

様々な分野から出題、平均点は低め: ２０１５年度の地学は、試験時間６０分、大問数は７題で、〔第６問〕・〔第７問〕は選択問題であった。必答の大問は「地球の形とプレートテクトニクス」「地球の内部構造」「地質と地表の変化」「大気と海洋」「宇宙」の分野から各１題、選択問題は「火成活動と火成岩」「地球の大気」の分野からの出題となっている。

大問ごとの出題数と配点は、〔第１問〕・〔第３問〕〜〔第５問〕で１題あたり６問、２０点、〔第２問〕・〔第６問〕・〔第７問〕で１題あたり３問、１０点。
いずれの選択問題を解答した場合でも、総解答数は３０だった。６択以上の選択肢のある問題は、いずれの選択問題を解答した場合でも、選択問題を含めた全大問中で１２問であった。
文章選択問題１５問を中心に、語句選択問題１０問、図・グラフを扱った問題４問、数値選択問題１問が出題された。組合せ問題はいずれの選択問題を解答した場合でも１２問で、そのうちの大半が３項目の組合せによる８択問題であった。
また、〔第１問〕の問２、〔第２問〕の問１、〔第３問〕の問３、〔第４問〕の問５、〔第５問〕の問４、の５問の組合せ問題では、別解による部分点が与えられた。

２０１５年度の平均点は４０. ９１点で、理科②の中では低かった。

2015年度の出題

大問番号	出題内容	配点
1	地球の形とプレートテクトニクス（Ａ : 地球の形と重力Ｂ : プレートテクトニクス）	20	必答
2	地球の内部構道	10	必答
3	地質と地表の変化（Ａ：地質図Ｂ：大陸移動）	20	必答
4	大気と海洋（Ａ：低緯度の大気Ｂ：海洋表層の流れ）	20	必答
5	宇宙（Ａ：恒星Ｂ：銀河系）	20	必答
6	火成活動と火成岩	10	1題選択
7	地球の大気	10	1題選択
	Total	100

試験時間60分平均点：40.91点

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広く正確な知識が問われる出題
複数の力も試される

〔第１問〕は地球の形とプレートテクトニクス。
Ａは地球の形と重力に関する問題である。問１は地球楕円体の形状に関する基本的な問題。問２は地球楕円体や重力に関する３つの文の正誤の組合せ問題で、３つの文のうち２つが正解の組合せであれば、部分点が与えられた。問４はプレートの移動速度についての計算問題で、図の読み取りに加えて、三角比や単位換算等の計算力も必要な、複数の力が試される問題であった。また、２地点間の距離を地球の周囲の長さと緯度から計算させる点が目新しかった。

Ｂはプレートテクトニクスに関する問題。問６はプレートの運動に関連する地磁気や重力、地震波速度についての知識が問われた。

〔第２問〕は地球の内部構造。
問１では、地殻、マントル、核それぞれの領域に一番多く含まれている元素が問われた。この問題では、地殻、マントル、核のうち、２つの元素が正解の組合せであれば、部分点が与えられた。
問３は沈み込み帯の特徴に関する問題で、正誤の判断にやや深い理解を必要とする選択肢が多く、戸惑ったと思われる。岩石だけでなく、岩石を構成する鉱物に含まれる物質にまで触れている点が珍しく、正確な知識が問われた。

〔第３問〕は地質と地表の変化。
Ａは地質図に関する問題である。問２は地質図から地史を読み取る問題で、地層の傾斜方向を求める力や、地層に関する基本的な知識が求められた。問３は放射性同位体を利用した堆積年代の計算問題。半減期の意味と計算方法がわかっていれば、計算自体は易しいものだった。この問題では、堆積年代の新旧が正解の組合せであれば、部分点が与えられた。

Ｂは大陸移動に関する問題。問４はヒマラヤ山脈の形成に関する分野融合問題であった。問題文中にある「海底」「圧縮」「重なり合う」といった表現をヒントにして考察する力が求められた。問６では大陸移動説の根拠としてウェゲナーが示さなかったものが問われ、ウェゲナーの時代にまだ判明していなかったものを判別するための、正確な知識が必要であった。

地学を大きな視点で俯瞰した
分野融合型の問題の出題も

〔第４問〕は大気と海洋。
Ａは低緯度の大気に関する問題。問１は対流圏における水蒸気圧と温度の緯度・高度分布を表す図から、相対湿度や大気の安定性などを考察する問題であった。
問３では、フェーン現象や台風のエネルギーなどの、水蒸気の凝結熱に関する知識が問われた。水蒸気の凝結熱が原因となる気象現象と、そうでない気象現象を判別するための知識が必要な問題だった。

Ｂは海洋表層の流れに関する問題。問５は、環流が形成される仕組みを、地表付近の風と転向力の影響から説明する問題であった。この問題では、３つのうち２つが正解の組合せであれば、部分点が与えられた。

〔第５問〕は宇宙。Ａは恒星に関する問題。問１は見かけの等級のＨＲ図と年周視差の測定結果から読み取れることについて問われた。見慣れないＨＲ図や、読み取り箇所が多かったことで、戸惑ったと思われる。Ｂは銀河系に関する問題。問６は銀河回転曲線についての理解が問われた。

選択問題は火成岩と地球の大気
小問数と配点は共通

〔第６問〕は火成活動と火成岩。問１は結晶分化作用で晶出する斜長石に関する知識、及び偏光顕微鏡で観察したときの特徴を問う問題だった。目新しくはあるが、偏光顕微鏡で岩石プレパラートを実際に観察した経験があれば、理解しやすかったと思われる。
問３はマグマからの結晶の晶出順を問う問題で、晶出順序をスケッチから読み取る力が求められた。

〔第７問〕は地球の大気。
問１は、季節変化を起こす要因や、ミランコビッチサイクルに関する知識、地球の自転速度と転向力の関係などを問う、分野融合型の問題であった。問３は酸素とオゾンに関して幅広い知識を問う問題で、それぞれの知識についての深い理解を要した。

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