UPDATE 2019.02.15

フランス人はおフランスと言わない!
世界はどこもけっこう同じ

フランス人はおフランスと言わない

11月にパリのイベントに招待されて行ってきた。パリという響きはすごい。だって、ただ旅行先で食べたパンがおいしかったということを言いたいだけでも、「パリのクロワッサンは違うんだよね〜」と言ってしまって、すっかり鼻持ちならないやつである。

その原因はドラマやマンガに出てくるフランス人がキザに描かれているからだろう。もしくは「おそ松さん」に登場するイヤミだ。

でも実際は全然違ったのだ。Airbnbという人の家に泊まるサービスを使ったのだが、まずそのホストが親切でテンション高い。タクシーを降りるところまで迎えに来てくれていたし、歓迎のシャンパンを開けてくれた。そして部屋の案内をするときは歌うようだった。キザなフランス人はどこへ行ったのか。

歓迎してシャンパンを開けてくれるAirbnbホスト

イベントで会ったパリジャン・パリジェンヌもキザではなかった。なにせ変顔がうまい。写真に撮られるとき、たいてい変な顔をする。そしてその写真を見てゲラゲラ笑っている。若者からおっさんまでそう。高校生みたいである。おフランスざんす、なんてことは言わないのだ。フランス人だから言わないかなとは思っていたが。

ほかの日本人も同じような感想を持っていた。フランス人はおおむね明るくて、でも暗い人もいる。つまり日本人と変わらない。

アメリカ人はストレートに物を言わない

そういえばアメリカでも同じようなことを思った。アメリカ人は自分の意見を遠慮なく言うと思っていたら、すごく遠慮がちだった。一度スーパーのレジに並んでいる列に間違えて割り込んでしまった。すると後ろにいた若者が「えーと…」ともじもじしていたのだ。映画だと「坊やはミルクでも飲んでな!」と言われるところである。

アメリカ人はストレートに物を言わない

アメリカ人は相手の気分を悪くさせないように気を遣う人たちだった。日本人と変わらない。自由奔放に発言するアメリカ人のモデルは「オバQ」のドロンパだろうか。

考えてみればそりゃそうである。

フランス人はキザ、アメリカ人は自由に発言をする。といっても、フランスには6700万人、アメリカには3億2千万人の人がいるのだ。その人たちが皆同じ性質なわけがない。

主語が大きい話は疑ってかかってよい

「フランス人は〜」から始まって正しい文章は「フランスに国籍がある」だけである。

こういう落とし穴は国の話だけではなく、「東京に住んでるやつって」「男って」「〇〇大学のやつって」「サラリーマンって」という身近なところにも潜んでいる。
あれ、全部ウソだから。

<この記事を書いた人>
林雄司
デイリーポータルZ編集長。

主語が大きい話は疑ってかかってよい

身近にいない集団は顔も見えないし人格もない固まりに見える。そういうときに「〇〇って頭わるいよね」みたいなことを信じてしまう。でも実際に接してみて、ひとりひとりの顔や性格が見分けがつくようになると、そんな大ざっぱなイメージは違っていることに気づく。

そして思うのは「人それぞれ」という超当たり前の結論である。それしかない。マンガみたいな悪人はいない。

学校生活や、これから進学したり就職したりするとき、「集団を主語にした言い回し」を信じないようにするだけで、気持ちが軽くなると思う。

正しいのは「東京のやつってさ、東京に住んでるらしいよ」というトートロジー(同語反復)だけである。そう言ってくる友達がいたら愛らしい。仲良くなっておこうぜ。

  • <この記事を書いた人>
    林雄司
    デイリーポータルZ編集長。

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11月にパリのイベントに招待されて行ってきた。パリという響きはすごい。だって、ただ旅行先で食べたパンがおいしかったということを言いたいだけでも、「パリのクロワッサンは違うんだよね〜」と言ってしまって、すっかり鼻持ちならないやつである。 つける> しない しない /kou_news/ikinuki/img/0587/img_main01.jpg 1